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迷ったときは難しい道を選べ。
精神科領域の疾患と闘い続ける。
抗精神病薬

100人に1人が発症すると言われている統合失調症。精神科領域の疾患、いわゆる“こころの病”の歴史は古く、現在でもその明確な原因や解決法がわかっていないことが多い。大塚製薬は、その難しい課題の解決のために長年にわたり研究を続けてきた。チームの前に立ちはだかる、いくつもの壁。25年もの歳月を費やして開発した、革新的な新薬。その歴史は、患者さんの社会復帰に役立ちたいという切なる願いであり、新しい領域へと挑む社員たちの過酷な闘いでもあった。

大塚製薬が抗精神病薬の開発に着手したのは、1977年。抗ヒスタミン剤の研究中に、ある化合物の脳に対する作用を発見したことがきっかけだった。1980年には、効果の期待できる化合物の合成に成功。開発は、いたって順調に見えた。しかし、研究開発後期になって、突如暗雲がたちこめる。統合失調症の症状のひとつ、妄想や幻覚といった陽性症状への効果が弱かったのだ。さらに追い打ちをかけるように研究開発予算が底を突きかけ、抗精神病薬の開発は暗礁に乗り上げることとなる。

「迷ったときは難しい道を選べ」。当初の方針を転換しようとした研究員たちを奮い立たせたのは、当時の大塚製薬社長、大塚明彦の一言だった。難しい道でなければ、創造性は生まれない。その言葉によって、チームは新たな方針へと舵を切る。そして、わずか2年弱のスピードで、1987年に新たな化合物の合成に成功。抗精神病薬開発のスタートから10年後のことであった。

2002年、大塚製薬として初めての抗精神病薬を米国で発売。日本では2006年に発売される。過剰な鎮静作用が少なく、長期にわたる安定的な治療を可能とするその薬は、精神科治療の新しい選択肢となった。大塚製薬は、精神科に特化したMRを設け、医師の理解を得るために地道な活動を展開した。患者への処方事例を追跡し、具体的な症例について一人ひとりの医師と話し合う。こうしたMRの奮闘が実を結び、ピーク時には60以上の国・地域で使われる薬となるまで成長した。

世界で初めて抗精神病薬が発見されたのは、1950年代。「第一世代」と呼ばれるその薬によって、統合失調症の治療は大きく前進した。1990年代には、より有用性に優れた「第二世代」の抗精神病薬が生まれた。そして2000年代、大塚製薬が四半世紀の時をかけて開発した新たな抗精神病薬は、長期の服薬に適し、世界中の患者さんの社会復帰に貢献している。2015年には、大塚製薬は新しい作用機序を有する薬剤を米国で上市した。現在約60カ国・地域で展開中だ。未解決の精神科領域の疾患は、まだある。大塚製薬の社員たちは、その長く険しい道のりの中、今も挑戦を続けている。