「ポカリスエット」40周年の歴史と未来

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熱中症という概念と水分・電解質補給の必要性を顕在化

大塚グループは、1921年に化学原料メーカーとして創業し、1946年から輸液事業を開始しました。その輸液事業で培われたノウハウを活かし、日々の生活の中で身体の健康維持・増進に大切な水分や電解質を補給する飲料として開発した製品が「ポカリスエット」です。1992年には、公益財団法人日本体育協会(現 日本スポーツ協会)「スポーツ活動における熱中症事故予防に関する研究班」の活動に参画、熱中症とその予防に関する啓発活動を本格的にスタートさせました。その後も、科学的なエビデンスをもとに、生活のあらゆるシーンでの水分・電解質補給に関する重要性を広めてきました。
そして現在。当時はあまり知られていなかった「熱中症」という病態や、その対策として水分と共に電解質(イオン)を補給するという概念は、人々にとって広く認知されるようになりました。また、「ポカリスエット」は、スポーツ、通勤、屋外での作業、お風呂上がり、寝起きなど、あらゆる状況下での発汗状態に適した飲料として、多くの人々の生活に定着しました。大塚製薬は今日も、子どもたちのスポーツシーン、職場での労働安全衛生、高齢者の水分補給などテーマを拡大し、さまざまなシーンにおける水分と電解質補給の必要性を啓発し続けています。

「ポカリスエット」は、発汗により失われた水分、電解質をスムーズに体内に補給するための健康飲料です。人は発汗により体温を調節する際、水分と一緒に電解質も失います。水を飲むだけでは水分と電解質のバランスが崩れ、体調不良や運動パフォーマンスの低下をきたすことがあります。そのため、“正しい水分補給”が必要となります。ヒトの体液に近い飲料を飲むことで、効率的な水分補給を実現したのが「ポカリスエット」です。

  • 1980年日本で発売
  • 1982年初の海外進出
  • 1987年累計販売本数30億本達成※1

    ※1340ml換算、海外を含む

  • 1992年

    日本体育協会※2 「スポーツ活動における熱中症事故予防に関する研究班」への協力開始

    ※2 現 日本スポーツ協会

  • 1993年

    日本体育協会の熱中症予防啓発活動に協賛開始「スポーツ活動における熱中症予防ガイドブック(初版)」の制作協賛

  • 1993年累計販売本数100億本達成
  • 1998年累計販売本数200億本達成※1
  • 2007年

    日本生気象学会「日常生活における熱中症の予防指針(Ver.1)」をもとに作成されたガイドブック「防ごう熱中症」の制作協賛開始

  • 2007年

    スポーツ活動キャンペーンの一環として、全国のスポーツ少年団員50万人への水分補給講習会を実施

  • 2008年累計販売本数300億本達成※1
  • 2010年

    全国の保健所、保健センターにて高齢者を対象にした熱中症対策啓発活動を開始

  • 2012年

    ウェブサイト「熱中症予防情報サイト」(NPO法人 気象予報キャスターネットワーク) 制作協賛

  • 2012年

    全国の産業医、事業所勤務の保健師・看護師・栄養士・安全衛生担当者の方を対象にした講演会をLive On Seminarとして開始

  • 2016年

    熱中症予防声かけプロジェクト「ひと涼みアワード2016」 最優秀啓発賞、トップランナー賞 受賞

  • 2017年

    環境省作成
    「熱中症環境保健マニュアル」 複製に協力

  • 2020年40周年

良質な水分・電解質補給を世界中の人々へ

「ポカリスエット」が新たな価値を創造し続ける理由

身体が水分を失う場面は、時代や国境を越えて、さまざまなシーンで生まれます。
大塚製薬は「ポカリスエット」の販売を通じ、世界20以上の国や地域において、水分補給の大切さを啓発する活動を行っています。
時が流れ、環境や価値観が変化し、社会が多様化してもなお、「ポカリスエット」が新たな価値を創造し続ける理由。それは、「ポカリスエット」が人々の生活に寄り添い、潜在的な課題を探求し続け、人々の健康と豊かな生活の実現に向け、普遍的なニーズに対するサイエンスに基づいた解決策を提案し続けているからです。

「ポカリスエット」が目指す世界

地球温暖化――それは地球全体の気候や自然環境、人々の暮らしに大きな影響をもたらそうとしています。地球温暖化がこの先も進むと、2100年までに毎年12億人超が熱中症のリスクにさらされるといわれています。また、熱帯伝染病を媒介する生物の生息域の拡大により、ジカ熱やデング熱、その他の熱帯病の感染リスクにさらされる人が、2050年までに3億8300万~7億2500万人増える可能性があると試算されています。一方で、熱中症や熱帯病感染における応急処置(First Aid)としての正しい水分・電解質補給の方法やその重要性は、まだ世界においては、十分な認知が広がっていません。
国々に潜在的に存在する課題を探り、見極め、解決策を考え、科学的な根拠とともに伝える、体感してもらう。その活動は地道でも、「ポカリスエット」は世界の人々の健康に貢献したいと考えています。

「生きる」ために必要な水分補給。それに対する、変わらない探求心と、多様化する社会に対する柔軟な対応によって、世界で類を見ない健康飲料になることが、「ポカリスエット」の目指す姿です。
世界には、まだまだ良質な水分補給ができないことによって、健康を維持できない人々がたくさんいます。そのような世界を変えていけるよう、「ポカリスエット」は先頭に立ち、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。
Daniel Lietal., Environ Res Lett 2020

大塚製薬の佐賀栄養製品研究所では、さまざまなケースにおける水分・電解質補給の有用性について臨床試験を実施し、多様な角度からエビデンスを構築しています。
2018年にはこれまでの熱中症研究で蓄積したノウハウをもとに、新形態「ポカリスエット アイススラリー」を発売しました。高い冷却機能で知られていたアイススラリー(個体粒子が液体に分散した流動体の状態)という剤形に注目し、独自の技術により製品を開発。暑熱環境下での活動に対し、効率よく身体を芯から冷やす、“飲める氷”の熱中症対策飲料という新たな選択肢を提案します。

大塚製薬 イオン飲料研究室

本ページは、大塚ホールディングス「2019年12月期 統合報告書2019」より転載しています。

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