高品質な製品の安定供給のためのグループ連携
基本的な考え方
大塚グループは、常に顧客第一を考え、医薬品、食品、化学製品、健粧品などの事業特性に合わせグループ会社間の連携と協業で顧客の信頼に応える製品を追求します。部門の垣根を越えた人材育成を行い、関係各社とともに環境の変化に柔軟に対応する発展的な品質保証体制を構築し、品質リスクを軽減し、サプライチェーンの安定に貢献する能動的な取り組みが重要であると考えています。
創業から続く「お客さま第一」「品質第一」の精神

品質は工場の生命にして
包装も亦(また) 品質なり
買う身になりて 造れ売れ
今も「おやじ」として社員に親しまれている創業者の大塚武三郎の言葉です。1946年、注射薬の製造販売を開始するにあたり、販売に従事する人々の必ず実行すべき事柄であると書に示しました。この書は当社の工場などに掲示され、今日にいたるまで、「お客さま第一」 「品質第一」の精神を伝えています。
大塚グループの全社員は創業からの精神を決して忘れず、これからも、生命関連企業の責務として常にお客さま第一、品質第一を考え続けています。
法令や行政・業界基準(医薬品医療機器等法、食品衛生法など)に準拠するとともに「ISO9001(品質)」「ISO22000」「FSSC22000」(食品安全)などの認証の取得を進め、法規制の遵守を超えたQuality Cultureの醸成を推進し、患者さん・お客さまに安全・安心な製品を安定供給するために、グループ各社品質方針を策定し、トップマネジメントのもと継続的に製品・サービスの品質向上に向けた取り組みを行っています。
医療関連事業部門の推進体制
法規制などの要求事項に対して国際基準での製品品質の維持・向上と機能性の追求、安定供給を目指しています。例えば大塚製薬では「医薬品品質保証のための基本方針」を策定し、基本方針に従った活動を外部製造委託先を含む全工程で遵守することで、高いレベルでの品質保証システムの確立に努めています。2017年に「大塚グループ グローバル品質ポリシー」を策定し、品質データの信頼性確保の取り組みや統一手順書の作成などグローバルに活動を行っています。
推進体制
大塚グループの医療関連部門では、医薬品医療機器等法など各国の法規を遵守するとともに、製造販売においてGQP※1やGVP※2に基づく品質管理、製造販売後の安全管理を行い、規制当局への報告や各種文書の整備、改訂を行っています。また、副作用などの製品の安全性情報を絶えず収集・評価する安全性監視(PV※3)をグローバルで実施できる体制を構築し、その結果を医療機関などに迅速に提供する活動を続けています。また、高品質な医薬品を安定供給するために、すべての医薬品を適切な品質保証体制のもとで製造しています。各国GMP※4やPIC/S GMP※5といったグローバルな規制に準拠した品質保証体制を確立しているほか、「ICH Q10医薬品品質システムに関するガイドライン」に基づいた品質システムを強化しています。
- ※1GQP:Good Quality Practiceの略で、製造販売品質保証基準のことです。 GQPは医薬品医療機器等法に基づく厚生労働省の省令で、正式名称は、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」といいます。
- ※2GVP:Good Vigilance Practiceの略で、製造販売後安全管理の基準のことです。 製造販売後調査(PMS)の中で、GPSPと並ぶ業務の一つで、医薬品や医療機器を製造販売した後に、安全管理情報を収集・検討し、必要な安全確保措置を講じるために必要なルールの構築を要求するものです。GVPは医薬品医療機器等法に基づく厚生労働省の省令で、正式名称は、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」といいます。
- ※3PV:Pharmacovigilanceの略で、医薬品の安全性情報監視のことです。医薬品の副作用を検出、評価、予防することにより、適切な医薬品の使用を促し、患者さんの安全を守るものです。
- ※4GMP:Good Manufacturing Practiceの略で、原料の受入れから最終製品の出荷に至るまでの全工程において、適正な製造管理と品質管理を求める基準です。GMPは医薬品医療機器等法に基づく厚生労働省の省令で、正式名称は、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」といいます。
- ※5PIC/S GMP:Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme の略で医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキームを意味します。医薬品分野での調和されたGMP基準及び査察当局の品質システムの国際的な開発・実施・保守を目的とした査察当局間の非公式な協力の枠組みです。
安全性管理
大塚グループでは、医薬品医療機器等法で定められた医薬品などの品質管理に関する業務を行う品質保証責任者、製造販売後安全管理に関する業務を行う安全管理責任者並びにこれらを統括する総括製造販売責任者を任命し、安全性管理体制を確立。品質及び安全性に関する業務を的確に行っております。また、総括製造販売責任者から経営層への報告会を毎月実施しています。
医薬品の製造販売における三役体制

大塚製薬とそのグループ会社では、開発から販売品までのコンプライアンスのさらなる推進のための活動を2016年から実施しています。年3回のマネジメントへのレビューのほか、品質担当取締役への報告会は毎月実施しています。また、ニュートラシューティカルズ事業部では、品質担当取締役への報告会と品質保証定例会議を毎月実施し、徹底した品質マネジメント体制を整えています。
偽造医薬品防止のための啓発活動と撲滅活動への参画
偽造医薬品※1の流通量は750億ドル※2にも達し、途上国では医薬品流通量の10~30%が偽物であると報告されるなど、患者さんの安全性が大きく脅かされています。大塚製薬では、製薬防護研究所(PSI:Pharmaceutical Security Institute)との協働による偽造医薬品防止のための啓発活動および撲滅活動へ参画しています。※3大塚製薬と海外子会社は、適切な流通経路を通じた医薬品が患者さんの手に届くよう、市場監視や業界、行政と連携するグローバルプロダクトセキュリティチームを組織しています。2021年1月からは体制を強化し、生産・品質・調達・物流の各部門から専門性を有するメンバーが参画し組織横断的に活動しています。
- ※12017年のWHO総会において「偽造医薬品」の定義が議論され、WHOは同一性、組成や出所起源に関して、故意に/不正に偽造表示された医薬品を(Falsified Medicine)と定義しました。
- ※2Growing threat from counterfeit medicines (Bulletin of the World Health Organization, Volume 88, Number 4, April 2010, 241-320)
- ※3世界の製薬企業40社が製薬防護研究所(PSI)の偽造医薬品対策活動(情報収集、法執行との連携、啓発活動)に対し資金助成しています。
グローバル品質保証責任者会議
大塚製薬工場では、私たちは、「富める人から貧しい人まで等しく医療を受けられるように、その国や地域にあった適正な価格で医薬品を提供したい」という考えのもと、現地での輸液製造にこだわっています。その製造には「大塚グローバル品質基準」を設定し、どの国においても高い品質を維持すること、そしてそのさらなる向上を目指しています。また、当社の若い技術者を責任者として現地へ派遣することで、社員自身も大きく成長する機会となっています。輸液事業を行うグループ会社15社(10カ国)で毎年グローバル品質保証責任者会議を開催しています。医薬品の中でも、輸液は直接体内に投与されることからより厳しい品質管理が求められています。グローバルで安全性情報の交換体制の構築とともに品質保証に対する考え方の統一を図りながら、グループ会社一体となって、常に品質の維持・向上に努めています。
ニュートラシューティカルズ関連事業部門の推進体制

大塚製薬ではさらなる品質向上と安全性管理のために、2018年に品質本部を設立し、グループ15社を含むグローバル品質チームで共通の品質理念を確立すべく品質ポリシーの策定に着手し、2021年に「NC Global Quality Policy」を策定しました。

大塚製薬
品質本部 品質保証室 室長
小長井 健
「NC Global Quality Policy」への想い
大塚製薬の品質本部 品質保証室では、2018年にニュートラシューティカルズ関連事業を行うグループ14社からなるグローバル品質チームを設立しました。大塚製薬の品質への姿勢はグループ創業者の言葉「品質は工場の生命にして 包装も亦(また)品質なり 買う身になりて造れ売れ」に始まり、現在に至るまで大塚の社員に受け継がれています。この精神を私たちの言葉で表現するために、グローバルの仲間とともに自分たちの想いである、「品質を通じてお客さまに感動や喜びを与えたい」という願いを込めて ‟Customer delight through Quality”をキーメッセージとして「NC Global Quality Policy」を定めました。
推進体制
大塚製薬では品質保証室を設け、グループ15社を含むグローバル品質チームが医薬品のGMPの考え方をもとに、リスクの抽出と検証およびトラブルが発生した際の原因究明と対応までを一元管理する仕組みを構築しました。例えば大塚製薬では、バリューチェーンのすべてにおいて品質リスクを未然に防止することを目的に、「NC製品における開発から上市までの品質評価規定」を2020年12月に策定しました。
またグローバルな品質保証のために生産拠点における国際認証の取得を進めるなど、一層の品質向上を推進しています。
国際認証の取得状況(ニュートラシューティカルズ関連製品・消費者事業製品)
会社名 | 工場 | 品質マネジメントシステムISO9001 | 食品安全マネジメントシステム | その他 |
---|---|---|---|---|
FSSC22000 | ||||
大塚製薬(株) | 徳島第二工場 | 〇 | ||
大塚製薬(株) | 徳島板野工場 | 〇 | ||
大塚製薬(株) | 徳島ワジキ工場 | 〇 | ||
大塚製薬(株) | 佐賀工場 | 〇 | ||
大塚製薬(株) | 高崎工場 | 〇 | ||
大塚製薬(株) | 袋井工場 | 〇 | ||
大塚食品(株) | 徳島工場 | 〇 | HACCP | |
大塚食品(株) | 滋賀工場 | 〇 | HACCP (飲料ライン) |
|
大塚食品(株) | 釧路工場 | 〇 | HACCP | |
大塚食品(株) | 群馬工場 | 〇 | HACCP | |
アメルタインダ大塚 (AIO) |
Sukabumi | 〇 | 〇 | cGMP (IndonesianFDA) |
アメルタインダ大塚 (AIO) |
Kejayan | 〇 | 〇 | |
広東飲料(OSGB) | 第一工場、 第二工場 |
〇 | 〇 | |
天津飲料(TOB) | 天津工場 | 〇 | 〇 | HACCP |
ファーマバイト | San Fernando | FDA, USP-QSGMP-DSVP |
||
ファーマバイト | Opelika | FDA, USP-QSGMP-DSVP |
||
N&S | REVEL1 | IFS | ||
クリスタルガイザーウォーター | Bakersfield | 〇 | ||
クリスタルガイザーウォーター | Calistoga | 〇 | ||
Daiya Foods | Burnaby | SQF |
- ※FSSC22000:食品安全マネジメントシステム規格
- ※HACCP:衛生管理のマネジメントシステム
- ※c-GMP(Current Good Manufacturing Practice):FDAが定めている食品・医薬品の品質管理プログラムの一つ
- ※USP米国薬局方:米国の医薬品(サプリメント含む)の品質基準
- ※BRC Global Standard : 英国小売協会で運営されている食品安全規格
- ※IBWA国際飲料協会:ボトルウォーター業界の企業の業界団体
- ※IFS国際食品規格認証:EU諸国の食品安全基準
- ※SQF:米国の食品安全・品質管理の認証規格
お客様の声を聴く会の開催
大塚製薬のニュートラシューティカルズ関連製品では販売後の製品情報の収集に努めており、お客様相談室に届いたお客さまの声は、毎月の品質本部品質保証室の会議で生産や技術の関係部門と共有し、製品の改善検討と進捗確認を行っています。2018年からは規模を拡大した「お客様の声を聴く会」も年に1回開催し、調達部門、生産部門、品質部門のほかコンプライアンス部門や法務部門ほか大塚ホールディングスの担当者が情報を共有し、お客さま視点での品質の向上に努めています。
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医薬関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の協働による品質向上の取り組み
グローバルプロダクトクオリティ会議
大塚製薬の品質部門では、医薬品関連事業部門とニュートラシューティカルズ事業関連部門共催で毎年「グローバルプロダクトクオリティ会議」を開催しています。2022年は、「未来の品質経営に向けた新たなシナジー創出」というテーマで経営陣および日本を含む12カ国・地域の品質部門責任者約120名が参加しました。サプライチェーン内の品質リスクとその対策について、また、環境保全活動における品質保証の取り組みについて情報共有しました。また、あるべき「品質経営」の取り組みを表彰する「品質功労賞」を設け、品質管理人材の育成と意識向上に努めています。
グローバルプロダクトクオリティ会議 品質功労賞 最優秀賞受賞

大塚製薬の生産本部・品質本部・信頼性保証本部のメンバーから構成されるQuality Culture事務局※
- ※医療関連事業・ニュートラシューティカルズ連事業の部門を越えてさまざまQualityCulture醸成活動をリード、推進。

PTアメルタインダ大塚のQA(品質管理・保証)部
FSSC22000 (version 5.1)対応に向けた取り組みとして、ベンダー監査、原料・資材受け入れ検査結果共有のオンライン化、現場のデータを一括管理し、ベンダー管理を効率化するデジタル管理システムを開発、運用
人材育成と教育体制
大塚グループでは、品質に関わる社員に対し、年間計画に従った定期研修を行っているほか、会社および工場のルールに関する教育、安全衛生・環境に関する教育、製品およびその製造にかかわる製造管理・品質管理に関する教育などを実施しています。内容に応じて、手順の習得・実技の実施による教育により人材育成を行っています。
例えば大塚製薬では、新規採用者教育や入社2~3年目の社員を対象としたスキルアップ研修のほか試験確認者研修をそれぞれ年間約10回ずつ実施しています。